久しぶりに有隣堂にふらりと入り、文庫本コーナーをじっくり歩く。
最初は、村上春樹訳のロング・グッドバイを買うつもりであったんだけど、なんとなく手に取って買ったのが、この「巨人たちの落日」。
最近は、未読の国内作家に挑戦していたんだけど、久々読んだ海外文学はやっぱりしっくりきて面白い。
本作は5つの家族の運命を描く大河物語であり、第一次世界大戦の時代ということもあってイギリス、ドイツ、ロシア、アメリカにわたって繰り広げられる。第一次世界大戦で知っていることといえば、オーストリア皇太子の暗殺、日本も参加したこと、シュリーフェン計画、といった上っ面だけなんだけど、ここで描かれる皇太子暗殺から戦争が始まるというとこまでの、誰が仕掛けたというわけでもない、じりじりと歩み寄る暗い影が印象的。こんな風にして、巻き込まれるような感じでヨーロッパ中が戦争に身を投じていくんだなという感じ。
今のところ好きな登場人物は、エセル。
作家がイギリス人ということもあってかディケンズ的なストーリー展開と捉えられる部分もあって、自分はものすごく身近にうけとれる文章になっている。
翻訳ものはやっぱり面白いなぁ、と再確認した1冊。