2025年11月14日金曜日

眩惑のブロードウェイ

Lamb Lies Down on Broadway

ピーター・ゲイブリエル期の最高傑作と名高く、そして置き土産でもある2枚組アルバム。

世間的にもジェネシスの前期代表作として挙げられる名盤だが、自分にはとっつきづらく、前期の名盤としてはフォックストロットかセリング・イングランド~であると主張している。

そんな主張はさておき、50周年盤が出たということで買う気はないけど久しぶりに聴き直してみようとスタジオ盤とArchive Vol.1に収録のライブ盤を聴き直してみた。

本作でどの曲を一番よく聴くかというというと、やはり「カーペット・クローラー」。実は本作よりも先に、'99年のベスト盤「ターン・イット・オン・アゲイン」収録の再録バージョンを聴いていたせいで耳馴染みがある。ちょっとけだるさただよるゲイブリエルのボーカルや他の曲と比べて主張を抑えたインスト部分とのバランス、そして終わったときの余韻がいい。

オープニングのピアノの細かいフレーズが印象的。大作の幕開けにふさわしい。この歌メロがアルバムで随所にちりばめられ、トータルアルバムとしての装いを整えている。

耳にメロディが残っている曲としては、「カウンティング・アウト・タイム」、「リリーホワイト・リリス」、ラストを飾る「イット」などがある。

とは言え、以前聴いた時には散漫な印象があって、ジェネシスの全アルバムの中でも間違いなく聴かない方の作品だった。同じ大作でもELPのタルカスやイエスの危機、近年で言えばフラワー・キングスのThe Whirlwindのような分かりやすさはないかなぁ。

自然に歌詞が入ってくれば、また全体の捉え方が違うんだろうとは思う。