2021年3月24日水曜日

A Romantic's Guide to King Crimson|The Mastelottos

クリムゾンのドラマーの1人であるパット・マステロットとその奥方によるちょっと変わったクリムゾン・ソングのカバー集。

奥方が歌っているということで、歌もの中心のセレクトで、Two HandsやOne Time、Peopleといったブリュー作品が秀逸。

特にTwo Handsはどことなく憂いを帯びた感が増し、この曲の魅力やブリューのソングライティングの才を過小評価していたことを反省するぐらい素晴らしい。

Peopleはシド・スミスの伝記本でも、ブリュー本人がソロ用に取っておけばよかった(クリムゾンとして出すべきでなかった)と言っているぐらいだから、普通のポップソングとして扱うのがおかしくないのがよく分かる。

かつてウェットンが自作の3~4分の曲をフリップやエディ・ジョブソンが長尺曲としてあつらえてしまうと回想しているのを再確認できる。

こんな感じでいかにもプログレという化粧を落とすと、曲の本質が分かって面白い。いっそ、AORシンガー達に色々料理してもらうのもありかもしれない。フリップはスティック・メンやパワー・トリオによるクリムゾン・ナンバー再演については不快を顕したようだが*1、本作の印象を聞いてみたい。


*1 https://rollingstonejapan.com/articles/detail/30773/8/1/1