2021年3月19日金曜日

PROG MUSIC DISC GUIDE | 髙橋祐希(監修)

ネットの予告で「お、これは!」と思っていたので、発売日に購入。

これまでも廃刊となってしまったストレンジ・デイズでも21世紀のプログレという特集が組まれたこともあったが、それをアップデート+ボリュームアップという感じで編纂された1冊。

ドリーム・シアターであればロック誌やギター誌で取り上げられる頻度も高いだろうが、ザ・フラワー・キングスやスポックス・ベアードがこのようにまとまった形となっているのは大変喜ばしいことだと声を大にして言いたい。

スティーブン・ウィルソン始め、今のキーパーソンのインタビューを掲載しているところも充実度を増している。安直にプログ・レジェンド(たとえば、フリップ御大やジョン・アンダーソンなど)にインタビューしないところも「今のシーンを伝える」という意味でもいい。(あったらあったでおもしろいけど)
スティーブン・ウィルソンが抱くK-Scopeレーベルへの印象などは是非読んでもらいたいと思います。

とにかくボリュームがすごく、まださっと一読終えただけですが、知っているバンド、知らないバンド含め大変勉強になる内容です。アナセマの項目を読んでいると、もっと聴きたくなってきます。まさに知らない音楽に興味が沸いてくるという、本書の狙いにはまっている。
ネット情報の方が拡充しており、冊子でのディスクガイドの価値を打ち出す部分も難しい部分もあるかとは思いますが、こういうポピュラーなジャンルでないものに焦点をあて、きちんと編集されたコンテンツが世に出る、ということに価値があるかと思う。
そういう意味ではメディアが本だろうがネットだろうがそこは論点ではなく、価値あるコンテンツを出すスキームがきちんと働いた上でアウトプットされている、という部分が大事であると考えます。
ただ、「コンテンツを販売する」ということにおいて「書籍で流通」というのは未だ多くの人に流通させやすいやり方でもあるので、結果冊子になっているかと思う。
いい本は年月が経ってもいい本だと思っているので、昔のディスクガイドの類で好きなのが多いです。(例:レコードコレクターズ別冊ブリティッシュロックVol.2、など)

一方で自分の好みで言ってしまえば、収録曲、もっと言えば参加ミュージシャンはデータとして含めて欲しかった(膨大な作業かとは思うので単なるわがままです)。それと、タンジェントやビッグ・ビッグ・トレインは単独コーナーがあってもいいんじゃないか、と。

最後にわがままも付け足してしまいましたが、この内容でカラー(!)、かつ、このお値段なら、プログレ愛好家の手元に置いておくべき1冊としておすすめです。