2021年9月24日金曜日

時の流れに | ポール・サイモン

原題Still Crazy After All These Year。「時の流れに」なんておしゃれな邦題のついた名盤。ポール・サイモンのソロ作品では良く聴く1枚。

サウンドもそうだけど、各タイトル、歌詞も孤独の影というか哀愁感じさせる印象で、ちょうど今時分の秋深まる時節に聴くと一層感極まるというか浸れるのがいいですね。

参加ミュージシャンも豪華。トニー・レヴィン、ヒュー・マクラッケンなどロック畑でなじみの名前もあれば、スティーブ・ガッドやデヴィッド・サンボーン、マイケル・ブレッカーといったジャズ、フュージョン系で有名なミュージシャンの名前もある。

冒頭のタイトル・チューン、Still Crazy After All These Yearsはポール・サイモンらしい物語性ある名曲。サビ後のCメロ、Four in the morningの部分が特に気に入っている。

「恋人と別れる50の方法」というストレートな邦題のついた、50 Ways To Leave Your Loverも名曲。冒頭のつま弾くようなギターコードとあのドラム・パターンで勝ったと思う。後年のワールド・ミュージック指向の片りんも感じる1曲。

S&Gの再結成曲「My Little Town」も1つの目玉なんだろうけど、仮にそれがなかったとしても十分堪能できるアルバムになっていると思う。My Little Townは確かに明日に架ける橋の先にありそうな出来栄えだけど、S&Gの代表曲にはならないかな。昔、S&Gを一通り聴いたあとにこの曲の存在を知って、いつか聴きたいと待ち焦がれていたけど、さほど衝撃を受けはしなかった。
そういう点ではこの後も何度か再結成しているものの、新曲が出ないのもうなずけるほどそれまでの作品が輝いており、それらを超えるものは中々できないのではないかと思う。セントラル・パークでの再結成ライブでもこれ歌ってないですもんね。

感傷に浸れる雰囲気からか、聴くとどうしてかメグ・ライアンとビリー・クリスタル主演の映画「恋人たちの予感」を思い出す。直接は関係ないんだけど不思議。