2011年4月12日火曜日

巨人たちの落日(中):ケン・フォレット

巨人たちの落日(中) (ソフトバンク文庫)

第一次世界大戦も塹壕の奪い合いによる膠着状態になり長引く戦争。そんな時代に翻弄される、物語の人物達。

国や立場は違えど戦場に出るビリー、フィッツ、ワルター、グレゴーリィ。

エセルはモードの政治活動の広報新聞を手伝い、自活の道を探る。

兄に代わってアメリカに渡ったレフ。彼には、また随分変わった形でのアメリカンドリームが訪れる。それにしても、ダメな奴の典型的パターンだな。

フィッツは負傷して、本国にて暗号解読舞台に配属されるが、そのあたりはサイモン・シンの「暗号解読」を読んでいたおかげで、すこぶるイメージしやすかった。

ロシア革命のくだりは興味深く描かれている。やはり、国民全体の衣食住が安定していなければ国が傾くのもやむなし、といったところか。ロシアの人たちには悪いけど、その時代のその国に生まれてなくてよかったと思ってしまう。パンすら買えない当時のロシアの日常は、最近の地震の影響で店頭から姿を消したパンや水と情景を重ねてしまうけど、ロシア革命の方が先行き不安感のあおりっぷりがあって、暗さが違う。

報われない愛もあれば、実る愛もあって、一体この先どうなるのか物語に釘付けとなる。