2011年4月22日金曜日

巨人たちの落日(下):ケン・フォレット

巨人たちの落日(下) (ソフトバンク文庫)

長きに渡る戦争も終わりを告げ、戦後処理が始まる。ロシアでは社会主義を目指す革命が本格的に動き出し、各国は水面下でそれを防ごうと動き始める...

そのせいでロシアの地を踏む、英米国。ビリーはレフと再開するが旧交を温めるような感じではないし、グレゴーリー、レフ兄弟の再開はあると思ってやっぱりあったが、ロシア、アメリカ両国の価値観をぶつける展開に。レフは作中一番のろくでなしとしてしっかり描かれていて、ある意味安心w

アメリカは国際連盟を提唱するが、理想どおりに実現するのは茨の道。戦後ドイツでは既にユダヤ人への風当たりは強く、暗い時代の幕は開けない。この時代に結婚した人々は、まさか子供の世代に再び世界大戦が訪れるという悲劇に。

このように様々な状況で翻弄される登場人物たち。モードとワルター。これで物語はおしまい、という明確なラストではないものの政治家エセルと貴族フィッツの対面で余韻を残す幕引きには、満足。

これはもう、著者代表作と言われている「大聖堂」を読まないではいられない。