以前から読もう読もう、読むぉ!と思って久しく経って、ようやく読むことができた。
飛行機時代の黎明期の、パイロットや経営者の姿を描いた中編。長編という扱いなんだろうけど、それにしてはページ数もないので中編と呼ばせてもらう。
自分には「ハードボイルド」な雰囲気をまとった良作だと感じられた。
嵐の中を恐怖と闘いながら行手を探し出そうとするパイロットや、些細なミスも見逃さず厳罰を以って責務にあたる経営者リヴィエールの姿に、「仕事人」気質を克明に描いた作品。
あらかたそう読めるけど、そういった部分よりも簡潔な言い切るかのような文章が気に入った。
欧州便のために電話で起こされたパイロットに関する文章。
「彼は起き上がる。伸びをしながらゆっくりと窓の方へ歩いた。」
この一切の贅肉のない骨ばった感じ、そうそうお目にかからない。
本書には長めの解説があり、資料としても読み応えがある。