2017年3月17日金曜日

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹の新作が出ましたが、自分はようやっと前作の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んだ。長男が小説買うというので(東野圭吾の「誰が私を殺したか」)、ついでに買った。

10年以上前は新刊出れば単行本でも買い、文庫も出れば買うほどの入れ込み具合だったけど、やっぱり「アフターダーク」以降作品のトーンが変わったことと、他の作家への興味も拡げたため、最近は文庫化したら買う、というペースで楽しんでいる。

で、本作ですが、遅ればせながら読んで良かった一冊だっということで、満足している。もう少し詳しく言うのであれば、このさきどうなるんだろうという興味と読み終わった時の余韻、すっと落ち着く余韻ではなく物語としてはきれいに決着しないもののそれでもこの作者であればこれまでもあったので納得できる余韻があって、久しぶりに村上ワールドに入り込めたのが良かった。

この「入り込めた」というのは結構大事で、最近だとケン・フォレットの「大聖堂」だったり、小川一水の「天冥の標」(特に6巻)が良かったけど、それらを上回ると言えるほど面白かった。

昔の村上作品とはやはりトーンが変わっているとは思うけど、いい風に変わっていると思うけど。

元クロであるエリがつくるにある告白をするシーン、「エリは唇を軽く歪めた」という部分がどういう表情なのか、気になる。