長らく音楽プロデューサーとして名を馳せた著者がミュージシャン、プロデューサー経験を踏まえ、自らの音楽の入り口ともなったビートルズのオリジナル・アルバムを音楽面を前面に押し出して、全曲解説した1冊。
音楽面については、作曲に関する考察や、各担当パートの深い推察、レコーディングの背景含め記述があり、ビートルズ・マニアの入門書としても最適。ビートルズを演奏する人はさらに楽しめるというもの。
かつて、チャック近藤氏の「ビートルズ・サウンド大研究」という名著もあって今もその価値が下がることはないが、リマスター後の現在は本書を参考にするのがおすすめ。
特に、ビートルズを聴いてみようかな、でも国内盤は高くて輸入盤でいいやと過ごしている若者に、本書がいい副読本となるだろう。
500ページを超えるにもかかわらず、お値段2000円ちょいと、この内容にして圧倒的なボリュームで非常にリーズナブルでもある。持ち運ぶには少々かさばるが、そんな方はKindle版もあるので、ビートルズを聴いていて何か気になったらいつでも読めると思う。