トランスアトランティックの新作はなんと2バージョン。スタンダードな1枚バージョンと、削るなんてもったいないとマテリアルを盛り込んだ2枚組。他にも5.1chのものもあるが、流石にそこまでは手が出せず。
なんともまぁ、ファンを喜ばす(悩ます)ことを考えるなぁと感心するも、結局両方買ってしまうファンの悲しい性。
まずは1枚モノ(Abridged Ver.)を聴いて全体を把握してから、2枚組(Extended Ver.)を聴いてとやるんだけど、3枚聴く時間もなかなか大変。
そうなると自然にAbridgedばかり聴くかと思いきや、そちらに入っていないビートリーな曲がExtendedにあって意外とどっちも適当に聴いてたりする。
そのビートリーな曲が何かというと、Rainbow Sky。彼らのビートルズ好きが良く分かる傑作。
Extendedの方は決して蛇足ではなく、どちらも甲乙つけがたく充実しているので、片方だけにしないで双方出したのは英断だったと思う。ライブでは一体どちらのバージョンでやるのか、という楽しみもある。
2021年3月26日金曜日
The Absolute Universe | トランスアトランティック
2021年3月24日水曜日
A Romantic's Guide to King Crimson|The Mastelottos
クリムゾンのドラマーの1人であるパット・マステロットとその奥方によるちょっと変わったクリムゾン・ソングのカバー集。
奥方が歌っているということで、歌もの中心のセレクトで、Two HandsやOne Time、Peopleといったブリュー作品が秀逸。
特にTwo Handsはどことなく憂いを帯びた感が増し、この曲の魅力やブリューのソングライティングの才を過小評価していたことを反省するぐらい素晴らしい。
Peopleはシド・スミスの伝記本でも、ブリュー本人がソロ用に取っておけばよかった(クリムゾンとして出すべきでなかった)と言っているぐらいだから、普通のポップソングとして扱うのがおかしくないのがよく分かる。
かつてウェットンが自作の3~4分の曲をフリップやエディ・ジョブソンが長尺曲としてあつらえてしまうと回想しているのを再確認できる。
こんな感じでいかにもプログレという化粧を落とすと、曲の本質が分かって面白い。いっそ、AORシンガー達に色々料理してもらうのもありかもしれない。フリップはスティック・メンやパワー・トリオによるクリムゾン・ナンバー再演については不快を顕したようだが*1、本作の印象を聞いてみたい。
*1 https://rollingstonejapan.com/articles/detail/30773/8/1/1
2021年3月20日土曜日
Rarum Xiv: Selected Recordings|パット・メセニー
パット・メセニー自ら選曲したECM時代のベスト盤。80/81はよく聞いていたので、Everyday~を聴くと80/81を聴きなおしたくなる。
ニュー・シャトークァとか入っているところが、「自ら選曲した」と感じられるので、いいと思う。
2021年3月19日金曜日
PROG MUSIC DISC GUIDE | 髙橋祐希(監修)
ネットの予告で「お、これは!」と思っていたので、発売日に購入。
これまでも廃刊となってしまったストレンジ・デイズでも21世紀のプログレという特集が組まれたこともあったが、それをアップデート+ボリュームアップという感じで編纂された1冊。
ドリーム・シアターであればロック誌やギター誌で取り上げられる頻度も高いだろうが、ザ・フラワー・キングスやスポックス・ベアードがこのようにまとまった形となっているのは大変喜ばしいことだと声を大にして言いたい。
スティーブン・ウィルソン始め、今のキーパーソンのインタビューを掲載しているところも充実度を増している。安直にプログ・レジェンド(たとえば、フリップ御大やジョン・アンダーソンなど)にインタビューしないところも「今のシーンを伝える」という意味でもいい。(あったらあったでおもしろいけど)
スティーブン・ウィルソンが抱くK-Scopeレーベルへの印象などは是非読んでもらいたいと思います。
とにかくボリュームがすごく、まださっと一読終えただけですが、知っているバンド、知らないバンド含め大変勉強になる内容です。アナセマの項目を読んでいると、もっと聴きたくなってきます。まさに知らない音楽に興味が沸いてくるという、本書の狙いにはまっている。
ネット情報の方が拡充しており、冊子でのディスクガイドの価値を打ち出す部分も難しい部分もあるかとは思いますが、こういうポピュラーなジャンルでないものに焦点をあて、きちんと編集されたコンテンツが世に出る、ということに価値があるかと思う。
そういう意味ではメディアが本だろうがネットだろうがそこは論点ではなく、価値あるコンテンツを出すスキームがきちんと働いた上でアウトプットされている、という部分が大事であると考えます。
ただ、「コンテンツを販売する」ということにおいて「書籍で流通」というのは未だ多くの人に流通させやすいやり方でもあるので、結果冊子になっているかと思う。
いい本は年月が経ってもいい本だと思っているので、昔のディスクガイドの類で好きなのが多いです。(例:レコードコレクターズ別冊ブリティッシュロックVol.2、など)
一方で自分の好みで言ってしまえば、収録曲、もっと言えば参加ミュージシャンはデータとして含めて欲しかった(膨大な作業かとは思うので単なるわがままです)。それと、タンジェントやビッグ・ビッグ・トレインは単独コーナーがあってもいいんじゃないか、と。
最後にわがままも付け足してしまいましたが、この内容でカラー(!)、かつ、このお値段なら、プログレ愛好家の手元に置いておくべき1冊としておすすめです。
Like Minds|Gary Burton / Chick Corea / Pat Metheny / Roy Haynes / Dave Holland
面白いのはゲイリー・バートン主導っぽく、ヴィブラフォンをこんなに聴いたのは初めてかもしれない。これまた不勉強で、メセニーが師匠筋として慕っている人物と知ってこれまた驚いた。
面子から個性のぶつかり合いのような緊張感の高いサウンドかと思いきや、意外とリラックスして聴ける1枚。とは言え、気の抜けたものでは決してなく、お互いのいいところがいい塩梅で出るようにバランス取れた演奏で、気持ちよい音楽が楽しめる。