2023年1月22日日曜日

夢幻の果てに | THE ALFEE

夢幻の果てに(紙ジャケット仕様)

1/20はTHE ALFEEの「夢幻の果てに」のリリース日。当時はデビュー20周年キャンペーンで毎月20日にCDが発売されていて、そのトリを飾ったのが95年当時の最新アルバムである本作。

88年のD.N.A. Communication、89年のArcadiaは味付けの濃いアルバムで、その反動か92年のJourneyはバラエティ豊富な内容だけど前2作と比較すると幾分ストレートな感じだったので、間にソロ活動を挟んだこともあってバンドとしての原点回帰だったのかなと思ってました。
しかし、そこで立ち止まらず当時デビュー20周年を迎えた彼らは、当時の自分たちができる精一杯を「プログレ」で表そうと、本作の音楽的テーマとして組み込まれた。

冒頭の「孤独の影」はピンクフロイドのクレイジー・ダイヤモンドを彷彿とさせるギターで幕を開ける。これは当時のツアーでもオープニングを飾っていて、本当に出だしにふさわしいと思った。時計の秒針のSEも手垢の付いた手法なんだろうけど、そういう様式美を大事にしているんだなと感じる。

続く「幻夜祭」は変拍子を多用したハードなナンバー。5拍子が多いんだけど、これを「ノれる」楽曲にしているのが凄い。ていうか、「ノッテくるファン」が凄いのかもしれない。後年のNouvelle Vagueにも通ずるところもあると思う。

3曲目の「Liberty Bell」も変拍子が効いた1曲で、前2曲と比べると明るい感じ。サビの相変わらずのコーラス部分が曲に広がりを与えてくれていていい。ライブでも映える。

劇の一幕を見ているような「哀愁は黄昏の果てに」。冒頭3曲がプログレテイスト濃かったので、それと比べると普通の曲。

ややダークなテイストのラブ・ソングが多いのも特徴。「殉愛」、「悲劇受胎」、「Complex Blue」と立て続けに3連発。Complex Blueはサステインの効いたギターがカッコいい。

本作の中での清涼剤w、先にシングルでリリースされていた「まだ見ぬ君への愛の歌」。

そして、F1好きな桜井さんが歌う「Wild Bahn !」。出だしから3人のコーラスから始まるスピード感溢れるパワフルな1曲。左右に振られるレーシングカーのSEも効果的。

前年のシングル、「冒険者たち」は本作を予見するかのような、展開の目まぐるしさ。中間のジャジーなアレンジは数あるアルフィーの楽曲の中でも希少。(あとは、バラードベストPromised Love収録の「心の鍵」くらいか)

ラストを飾るのはバラード「黄昏の泉」。ここはプログレがどうとか関係なく、これまで培われてきたアルフィーバラードの新しい形として、しっとりと、しかし力強く歌い上げいるロックバラード。坂崎師匠のハーモニカも懐かしい雰囲気を纏わせていて心地よい余韻でアルバムの幕が下りたことを噛みしめられる。