10代に買ったアルバムは買った場所も覚えていたりするもので、本作もよく覚えている。
当時藤沢名店ビルだかダイヤモンドビルの3F(?)にあったCDショップで発売前に予約して購入したもの。
ゴールドCDの方を買った。おまけで当時のバンドロゴの金色のAを模したキーホルダーではないけどチャームみたいな、そんなものをもらいました。
そのCD屋さんはあまり広くないんだけど、それなりによく行った。洋楽を本格的に聴くようになってからは、当時近くにあった西武デパートの上にあったWAVE(だと思った)に入り浸るようになった。
さて、本作は初の60分越えで最初からCDフォーマットを意識した作品だと思う。LPも同時に出てたけど2枚組でした。
冒頭のHeart of Justiceからして長い。7分近くあるメッセージソングで、ライブでもおなじみの1曲。この「何か始まる」感のあるオープニング、盛り上がりからしてつかみはOK。
2曲目「悲しみが消える時 ~you are the rock~」はアコースティックテイスト溢れる坂崎師匠ボーカルの一品で、このアコギの自然なバランスがこの頃のアルフィーサウンドの完成形とも言える。後々何度かリメイクされるけど、オリジナルの良さは消えない。
続く、足音などのSEから始まるNervous Breakdown。ここでも印象的なアコギのイントロがかっこいい。桜井さんメインのボーカルだが要所要所でいつもの三声コーラスがきまる。エンディングでアカペラになるところもぐっと締まって良い。
19 -nineteen- はシングル盤とは別テイク。結局こちらの方をよく聴くのでたまにシングル盤を聴くと、あ、そういえば違うんだっけ、となる。
5曲目、「ふたりのGraduation」は高見沢メロディ炸裂のポップなバラード。シンセによる音作りが歌詞世界とマッチしている。「雨に煙る...」の出だしから情感たっぷり。
そこからいきなりエレキのヘヴィなインストナンバー、「Black Doctor」。ブックレットにはDoctorにちなんで、この曲の処方箋が記載されていて面白い。
「AGES」にも入ってそうなアメリカンな「Just Like America」。ここでも小気味良いアコギのストロークが映える。スライドのエレキギターも負けじに映える。
続く、「Hi-Heel Resistance」は後年の「Live in Progress」バージョンが好きで、ここでの間奏が物足りない(笑)
今のところALFEE唯一のバースデイソング、Wind Tune。それにしてもWindとか風がつくタイトル曲が多いバンド。
そしてタイトルチューンとも言える、Ages以来の組曲「DNA Odyssey」。出だしのメロディは3連なのにドラムが2拍という珍しい絡み方で、もろプログレ。メインのテーマを軸に変化球が飛び交う。間奏のギターフレーズは結構ブルース寄りなテイストで、曲全体はイエスの組曲っぽいのにこの辺はピンク・フロイド的な構成を意識してるのかもしれない。「何のために生まれ、そして消えてゆくのか」という一連の歌詞も深い。これまでもGate of HeavenやAgesという組曲があったけど、それらとはまた一味も二味も違う壮大な仕上がりになっている。
続く、「Kitto」は中村雅俊への提供曲「さよならが言えなくて」の英語歌詞バージョン。ラジオでも桜井さんの英語の発音に色々ネイティブ指導が入ったとのことで、その雰囲気は十二分に出ている。
そして名バラード「Loving You」。これはタカミーのエレキギターが素晴らしい。後年バラード・ベスト「Promised Love」に再録されずそのまま収録されているだけ、この曲の完成度の高さが伺える。エンディングのギターは名演。
最後は当時最新シングルである「Faith of Love」で締めくくり。バラード調でありながら、間奏のギターソロはキレキレなバロック調フレーズで意外と合う(笑)。確かにこのエンディングのジャーンという音が小さくなるところで、あぁ1枚聴き終わったなと充足感を感じる。
バンドサウンドのバランスでいうとハートロック、メタル寄りからエレキとアコギ、キーボード含めたバンドアンサンブルのバランスが非常によく、80年代最後を締めくくるアルフィー・サウンドの1つの到達点とも言える出来栄え。
ここからの進化なのか、同じことはやらないという意気込みなのか、次作は「エスニックハード」路線になって、ちょっとした味変がある。