最近、熱心に村上春樹作品を追っかけることもなくなってきたので、読んでない作品もちらほらとある。今年はちょっと前に「色彩を持たない〜」を読んで、やっぱり村上春樹面白いなぁ、と堪能していた。
で、この「東京奇譚集」が未読ということなので、読んでみた。
ちょっと不思議な短編集。こういう括りの時点で名著の予感。前にも書いたかもしれないが、いい短編集にあったときの嬉しさといったらない。人生に気の利いた1ページが加わったような気分で、それだけで付加価値があるというものだ。
さて、どの話も面白いし、収録順というのも結構気に入っている。
強いてどれが一番好きかというと、「ハナレイ・ベイ」かな?いや、「日々移動する腎臓のかたちをした石」も捨てがたい。
冒頭の「偶然の旅人」に出てくるジャズのエピソードも好きだ。
どことなく昔の匂いがしていると感じていて、自分の中で収まりがいいのだろう。既に数回読み返しているが、たとえ物語の結末を知っていたとしてもページを繰る楽しみがある。