2025年2月8日土曜日

オフ・ザ・グラウンド │ ポール・マッカートニー

オフ・ザ・グラウンド

93年リリースの89年の復活ワールドツアーも成功し、そのメンバーでレコーディングしたアルバム。
個人的な好みでは前作の方が好きだが内容に遜色なく、むしろこちらの方が勢いもあって充実していると取る人も多いかと思う。それぐらいの傑作。
前作のデラックスエディションでも確認できるが、本作収録曲が既に前作制作時点でも取り上げており、この時期の創作意欲の高さが伺える。

出だしのタイトルトラック、Off The Groundからしてかっこいい。

続く、Looking For Changesも力強いギターフレーズから始まるアップテンポなナンバーで、とにかくライブ映えするし、当然それを意識していると感じる。

3曲目、Hope of the Deliverance、邦題明日への誓いは先行でシングルが出てたっけ?当時8cm CD買ったのを覚えてる。ここではイントロがアコギのストロークから始まるが、91年に公式海賊版というタイトルでMTVアンプラグドに登場したライブ音源が出ているが、ここでのアコースティックの取り組みがフィードバックされているんじゃないかとも思われる。

4曲目Mistress And Maidはコステロの共作から分かるように前作からのマテリアル。後年のベスト盤やライブ盤にも収録されたりしないので、それほど人気曲じゃないのかもしれないけど、この3拍子に乗るマイナー調のメロディ、生活感あふれるぼやきのような歌詞が好きで、自分の中では本アルバムの中で一番気に入っている。

愁いのあるマッカートニー・メロディ、I Owe It All To You。イントロのフレーズはメロトロンとか。

続く、Biker Like an Iconはウイングスでもやりそうなアップテンポなロックナンバー。ポールのシャウトがかっこいい。

7曲目Peace in the Neighborhoodはここまでの曲に比べると一休みできる感じの1曲。ちょっぴり粘っこく歌う感じが面白い。
Golden Earth Girlは、出だしの牧歌的なメロディでがっちりつかみ込むマッカートニー・ミュージックの典型的な流れ。サビのコーラス、ギターのアルペジオも美しい。

9曲目The Lovers That Never Wereはコステロとの共作。4曲目といいなぜか本作収録のコステロ共作曲は3拍子もの。マイナー調のメロディで地味に感じながらも歌い方なのか本作でも印象強く残る1曲。

10曲目Get Out of My WayはBiker~のようにライブで盛り上がりそうな1曲。ホーン・サウンドのおかげでゴージャスに仕上がっている。

Winedark Open Sea。これは10数年気づかなかったことがあって、フェードアウトして終わるのだが、その一番最後の部分でPaul?による叫びが入っていること。後輩に指摘されるまで気づかなかった。というか結構音量上げて聴いてないと分からんよ。

ラストを飾るのはC'mon People。来日公演でもジョンの写真を写したりと印象的な1曲。Paulの80s版Anthemであり、JohnのGive Peace A ChanceへのPaul的解釈とも言えるんじゃないかと勝手に思ったり。ラストにアンコールっぽく、Cosmically Consciousが流れてアルバムは終了。

前作からシングルが頻繁にリリースされ、アルバム未収録曲のカップリングの多さがマニア泣かせに。本作のシングル3枚は一応国内盤すべて、リリース当時に買ったのでよかった。共作もあるとは言え、この頃の創作意欲の高さがよく分かる。