前期ゲイブリエル派、後期コリンズ派とスパッとファン層もわかれがちなジェネシスだけど、自分はどっちも好き。
何周も回ってここ数年は「デューク」が一番だと思っている。
80年リリース。ポップさが本格的になっていながらも、プログレテイストが抜けきれないのがいい。
特に冒頭の3曲とラストの2曲は秀逸。そこにシングルヒットもした「Turn It On Aagain」を擁しているのだから隙のないアルバム。
3曲目の「Guide Vocal」がバラードなのに、終盤の「Duke's Travel」ではプログレインスト部分が明けた後のアップテンポなロックナンバーとしてそのメロディが再登場する秀逸さ。こういうアレンジに思わずにやりとしてしまう。
Duke's Travel~Duke's Endのクライマックス感といったらたまらない。それにしてもこれだけギターを弾き倒すマイク・ラザフォード。バンドには他のギタリストはいらないといわんばかりのプレイに、ハケットの不在さをまったく感じさせない。
機材もデジタルシンセが随分増えてきて、80sっぽさを先取りしている。
他にも「Alone Tonight」や「Please Don't Ask」といったバラードも秀逸。「Please Don't Ask」なんて、フィル・コリンズのソロに入っていてもおかしくないんだけど(笑) この頃フィル・コリンズは離婚したばかりで、それがきっかけで曲作りが開花するという、まさに自らを粉にして芸に花を咲かせているともいえる。
ラザフォードによる「Man of Our Times」も後のゴージャス路線の先駆けとも言えるアレンジで、本作がこの後のバンドの方向性を決定づけたとも言える。
バンクスによる「Cal-De-Sac」は地味ながらいい曲。なんだかバンクスはその生真面目さが曲に出てる感じで面白い。
ほんわかするジャケットも悪くない。
ジェネシスのアルバムから1枚選んでと言われたら、「ナーサリー・ライム」でもなく、「フォックストロット」でもなく、本作を上げたい。