2014年4月14日月曜日

フラニーとズーイ J.D.サリンジャー(村上春樹訳)


やはり、全体を覆う春樹テイストが感じられますね。自分としては、さほど違和感ないものの旧・野崎訳に慣れ親しんでいたが、これはこれで面白い。

ズーイ(ゾーイー)旧訳ではラジオ番組「これぞ神童」(だった気がする)が、新訳では「イッツ・アン・ワイズ・キッズ」というカナ表記に。「これぞ神童」の方がラジオ番組っぽくないですかね?

サリンジャーのいくつかの作品に登場するグラース家の兄弟・姉妹の物語で、末妹フラニーと末弟ズーイの物語。ズーイの方にはフラニーも登場する。また兄バディが手紙で色々つづっており、兄弟構成が伺える。

やっぱり、ズーイのハイライトとなる「電話」の部分が何とも言えず良い。これぞサリンジャー、と個人的に気に入っている部分。

 

 

既に「ライ麦畑で~」も新訳で出てますが、こちらは訳が誰それとか以前に始めから合わないので読まないことに決めている。なぜだか、どうしてだか、「ライ麦畑で~」はサリンジャーの中では一番駄目ですね。

ナイン・ストーリーズ >>>(超えられない壁)>>>フラニーとズーイ=シーモア序章・大工よ屋根の梁を高く上げよ>>>(超えられない壁)>>>ライ麦畑で捕まえて

な感じなんですな。ほんと。

ナイン・ストーリーズの中では、「笑い男」と「エズミに捧ぐ」が甲乙付けがたいくらい最高峰。とにかくこの短編集がなかったら、これほど米文学びいきにはなっていなかったと思う。