一時廃盤にもなったりしたPaul Simonの最初のソロ・アルバム。彼のソロと言えばS&G解散後のMother and Child's reunionやDunkanを含むセルフタイトルを思い浮かべがちだし、実質的なソロと言う意味ではそちらを指すのが正しいのかもしれない。
というのも本作はS&Gのファーストがうまくいかずにコケテ、傷心のままイギリスに渡って録音した曰くありな作品だからだ。
すぐ後にSound Of Silenceのバンド・オーバーダビング・バージョンのシングルがヒットし、セカンド・アルバムSound Of Silenceを制作することになるが、かなりの楽曲がこのソロとかぶる。
そういう意味で色々聞き比べられて楽しい。映画「卒業」のサントラでもバージョン違いがあるが、このSongbook版と比べるのもいいですね。
Simonのギターと歌のみのシンプルな内容で、彼のギターテクニックが存分に味わえる。超絶技巧というのではなく、シンガーソングライターとしてのギターとしてものすごくお手本になる匠の技。
それにしても、S&Gのときとは録音が違うというか、悪く言うと「デモ」っぽさが残る感じ。いいスタジオや機材が使えなかったのでしょうか?そのせいか、やっぱりUKっぽさが出てきますね。S&Gのアルバムにはまったく感じられないのに。不思議。
余談だが、Eaglesのファーストは確かUK録音だったけど、あれは多少そういう空気も感じられるものの、あっけらかんとした西海岸っぽさがうまく演出されていると思う。