久しぶりに恩田陸作品を読む。
ある女性大物作家の縁者達がその死を偲んで毎年集まることになっていたが、4年目の集まりでは謎の人物からの花束が送られてくる。
そこには作家重松時子を殺したことを許さないというメッセージカードが添えられていた。
それをきっかけにあらためて、4年前のとき子の死の真相をみんなで解き明かそうとするが…
毎年集う縁者達というが、形は色々あるが物書きに連なる職業の女性達。それぞれ、したたかで、姉妹でも異母姉妹だったり一筋縄では行かない関係。
こういった背景もあり、真相を解き明かそうとする会話劇がテンポ良く、また恩田陸ならではの場面場面でハッとする「引き」が素晴らしい。
特に遺書を見つける場面、みんなが買い物に出掛けている間に、留守番しているえい子と静子にメッセージカードの送り主から電話がかかってくる場面は、絶妙。これがあるから、恩田作品は好き。
一応の結論は出るが、各人のエピローグがまた面白い。シリーズ物にできるのではと思うくらい、個性豊かな登場人物や設定でこの1冊で終わるのも惜しい。