孔明の死で終わるのが、物語として1つの終わりを形作っているという著者の意図に共感できるものの、三国演戯や十八史略でその後も読んでいただけに、司馬一族の台頭っぷり、姜維を始めとする残された蜀の抗う様、英雄的要素の減衰著しい孫呉の帝位、など物語として読み応えがないわけでもない。ただし、吉川氏の言及どおり英雄の小粒感は否めないので、氏が孔明退場で物語の幕を閉じた理由はよく分かる。
一応、追補巻で大雑把に晋による中華統一までは読める。
日本人向けにアレンジしていたとのことで、読みやすさが群を抜く。
これが「青空文庫」として無料で堪能できることに、関係各位に感謝。Kindleでも出ているのでKindleで一括管理したい場合はそちらをおすすめするが無料版は最後まで出ていなそう。一括まとめ版もあるのでそれでもよいかも。
日本の古典として、楽しめる中国史の1つとして、読み継がれて欲しい作品である。