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"Miniature"
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"Tin Man"
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"Another Try"
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"Lonely People"
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"Glad to See You"
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"Mad Dog"
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"Hollywood"
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"Baby It's Up to You"
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"You"
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"Old Man Took"
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"What Does It Matter"
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"In the Country"
'74年リリースの4枚目のアルバム。
2作続けてセルフ・プロデュースで来たものの煮詰まってきたのか、ここらでいっちょプロデューサーに料理してもらおうかと思ったのは理解できるが、このタイミングで何故かいきなり大物George Martinが請け負うことに。凄い。
レコーディングもロンドンで行っている。プロデュースのせいか、レコーディング環境のせいか、全体通じて随分和らいだ雰囲気のいいアルバムになっていりと思う。
冒頭のインストを引き継いでインパクトあるポップなTin Man。ライブでも景気付けの定番曲となっており、ボーカルも随分力強く素晴らしい。良くも悪くも「アク」が抜けた感じ。Beatlesっぽいポップ・ソングが多い。
Lonely PeopleはDan Peek夫妻による愁いのある歌で、BeatlesのEleanor Rigbyへの前向きな回答ということで作られた1曲(Eleanor RigbyはAh Look at the lonely people...で始まる)。アコースティックギターの柔らかいイントロと優しい歌い出しがしんみりくる。ハーモニカのソロというのも洒落ている。Tin Manと共に本作からシングル・カットされヒットしている。
Beatles時代もそうだったが、George Martinがピアノで参加していることもあってか、これまでの作品で一番ピアノの出番が多いかも。
Tin ManとLonely People に挟まれているAnother Tryはピアノの4つ打ちがGilbert O'Sullivanっぽく、随分US色を払拭してUKカラーをまとったなぁという感想。ストリングも重たく甘ったるくなくいい塩梅で締めくくりに一役買っている。
6曲目Mad Dogは、PaulのRed Rose 〜に入ってそうなひねりの効いたメロディが楽しめる小品。多分メンバーもせっかくだからとビートリーにやろうと決めたんじゃないかと想像できて楽しい。
自分が本作で一番の出来だと思うBaby It's Up to Youは軽快なアコースティックギターのストロークとコーラスが印象的。これもシングル・カットできるでしょと思う。エレキのオブリガートや徐々に音数増えてくるドラムもいい。フォークロックのお手本。
Old Man Tookは初期2枚に入ってそうなBunnellの太い、埃っぽさが感じられる声がマッチした歌。Martinがアレンジしたと思われるストリングも素晴らしい。素材の良さを最大限に引き出し、効果倍増。
ボードヴィル調な歌い出しで始まるWhat Does It Matterを聴くと、これまたビートリーな感じに振ってきたなぁとニヤついてくる。プロデューサーに目を奪われていたけどエンジニアがBeatlesサウンドの立役者Geoff Emerick。どうりでこういう音作りなのね、と妙に合点が行く。
〆はIn the Country。本作で一番賑やかで荒っぽいロック・ナンバー。途中のベルやらハンドクラッピングとかこういう絶妙なアクセントを付けるのが上手いわ。
Martinプロデュースがもの凄く効果を発揮した、 Americaの後の活動の礎とも言える傑作。