2014年9月5日金曜日

ティファニーで朝食を - トルーマン・カポーティ(村上春樹訳)

おそらく20年ぶり以上に読み直したカポーティの「ティファニーで朝食を」。当時はどうも合わないなぁと思って手元にも残していないけど、村上春樹による新訳ということで再挑戦してみた。

結果、正解。自分の好みとするところの米文学の空気を存分にまとった良作だった。あれ?昔はどうだったっけ?ただ堪え性もなくあきらめていたのか?実際のところ、今回はページをめくるのも早く、もう終わり?という印象。

映画ではオードリー・ヘプバーンがヒロイン、ホリーを演じて有名になってますが、村上氏後書きにあったのは著者のカポーティはヘプバーンが合わないと強く感じていたらしく、世間で名作と言われた映画の裏にもいろいろあるんですな。

確かに作中でホリーがギターを爪弾く描写があったけど、さほど印象的ではないものの映画ではムーン・リバーをうまく使い深い印象を与えている。

今回読み直して気に入った部分は、終盤ホリーが手紙を受け取る場面。

「女たるもの、口紅もつけずにその手の手紙を読むわけにはいかないもの」という台詞が、彼女らしく、いい。

 

短編も幾つか収録されており、「ダイアモンドのギター」と「クリスマスの思い出」は甲乙つけ難く、何度か読み直してしまった。「クリスマスの〜」での「人生が僕らの間を裂いてしまう」という言い回しが、これまた良い。

新訳とは言え、読み直して正解の1冊。