アラン・クレイソンによる ジョージ・ハリスンの伝記本。Apple Years Boxをより深く楽しむために、図書館で見つけたので借りた。
幼少の頃から、Beatles Anthologyの後ぐらいまでの、おおよそ彼の人生が網羅されている。
やはり、どうしたってBeatles時代にボリュームが割かれてしまうが、Johnへの憧れ、Paulへの反抗心など昔からのつながりならではの愛憎がよく描かれている。Sgt. PepperでPaulが50曲以上やってからでないと、自分の曲には見向きもしてくれないとか、White AlbumではNot Guiltyを散々やったにも関わらずアルバムには収録されず、遊び半分でやったJohnとPaulの曲が入っている、など結構な恨み節も吐露されており、Georgeの肩身の狭さみたいなものが伝わってきて気の毒になる。プロデューサのGeoge Martinからも1ランク下に見られていたんだから、忸怩たる想いがあったと思う。
音楽キャリアの前半はそんな天才達に圧倒されながらも、作曲も疎かにせず、ClaptonやBilly Prestonをスタジオに招いたりと、彼なりにバンドのバランスを取ろうと力を注いでいる姿がいじらしい。
ソロではAll Things Must Passで成功する一方でバングラデシュ・コンサートを実現するために奔走。ツアーに失敗した70s後半から音楽活動への興味が薄れていくが、自分のペースでアルバムをリリースしていく。Beatlesが見たければPaulのWingsを観に行けばいい、というのはサウンド的にも脱Beatlesで歩んで行った彼の意地か。
インドへの傾倒から瞑想に凝ったりしていたが、彼の場合はファッションではなく、心身の安定を図る体操の如く自然に取り組んでおり、それを人に押し付けない謙虚さが清々しい。
そういう性格でないと色々あったClaptonと一生の友人として付き合えるものでもなかったと思う。