Apple Yearsの続き。
自身のレーベルDark Horseを立ち上げたけどEMIとの契約が満了していないので本作と次作のExtra TextureはEMIからリリースというなんともちぐはぐな感じ。
ジャケットはどことなくSgt.Pepper臭のある構図。皮肉なのかパロディなのか、それとも天然なのか窺い知れないけど、妙なインパクトはある。
冒頭はいきなりインストのHari's on Tour (Express)。スライド・ギターも自在のGeorge。ベースがいつもと違う気がしたので調べてみるとMax Bennett。いつものKlaus Voormannではない。
きちんと見ると、参加ミュージシャンが結構多い。ドラマーもいつものJim KeltnerやRingo以外も参加しているし、何故かギタリストも多い。意外なところではサックスのTom Scott。彼は翌年PaulのVenus and Mars収録のListen to What The Man Saidで軽快なフレーズで彩っている。
セルフ・プロデュースらしいけど、この時期は散々で、最初の奥さんと離婚したり、アップルの裁判でPaulを除く他のメンバーとアラン・クレインと争ったりと、心労が続く日々だったと思う。
そういった背景を知るとなんだか空元気な風に聴こえるんですなw 特にEverly BrothersのBye Bye, Loveとか、Māya Loveとかね。色んなミュージシャンを呼んで、音楽に精を出しました、みたいな。仕方ない。人間だもの。
Ding Dong, Ding DongはGeorgeによるクリスマス・ソング。ここでもTom Scottがいい仕事してます。
タイトル・チューンのDark Horseは随分しゃがれ声なボーカルで、シングル・カットされたもののお膝元のUKではチャートインしていない。悲しい。USではツアーのおかげもあってTop 20には入ったらしい。
Stones加入前のRon Woodとの共作Far East Manは、早すぎたA.O.R.ではないかと思う。こういうメロウな変化球も持っているのねと感心。
インナースリーブの写真がすごくいい。これがオモテジャケットでもいいぐらい。