「パン」とか「しあわせ」とかタイトルに含まれると結構気になる。それが両方含まれてるのであれば見ないともったいないないのではないかという、あまり根拠のない理論で見ようと思った邦画。
北海道のある湖畔の傍でパン屋さんを兼ねているレストランがあり、とまることもできて、そこを訪れる客とのエピソードを描いた作品。
店は夫婦で営んでおり、大泉洋演じる夫はパン焼き職人。原田知世演じる妻はコーヒーを入れるのが上手。どこか訳ありな雰囲気の漂う不思議な夫婦で、奥さんは旦那さんのことを「水島くん」と呼びかける。
季節ごとに訪れるお客さんごとに短編の連作のような作りになっており、最初に描かれた夏のエピソード、森カンナ演じる振られた女の話、が好き。秋は母親が出て行ってしまった父娘の話、冬は妻の死期が近い老夫妻の話、春はエピローグとして描かれるが、夫婦が望んだものが手に入るという終わり方。
どれも柔らかい毛糸でくるまったような暖かい感じ。店名の由来ともなっているマーニーの絵本に出てくる「月」も大事な小道具で、ストーリーのポイントとして出てくる。
綺麗すぎて生活感のない夫婦だが、その部分が「大人の寓話」としてこの作品の味わいにもなっているんじゃないかと思う。