意外と早く到着したCrimsonの最新Tour Box。前年同様CD2枚組ですべてのキャリアを網羅しており、かつ未発表曲もや先行リリースも多数収録。
ブックレットが今年はコート紙っぽいやつで昨年より扱いやすい気がする。昨年は多分マットコート?
音源もさることながらこのブックレットは結構いい内容で、Fripp御大らしいCrimson 7つの鉄則(笑)が掲載されている。
- King Crimsonが我々全員に喜びをもたらすだろう。私(Fripp?)も含めて。
- パートを演奏したくないのであれば、それでも構わない。他の誰かに譲ってしまえ。我々には十分だ。(7人もいるから)
- すべての音楽は新しい。それがいつ書かれたものでも。(懐メロやる動機付けかw)
- 自分の音が分からなくなったら、C#を(とりあえず)鳴らせ。
- 拍が分からなくなったら、5拍か7拍で演奏しろ。(プログレっぽくなるから)
- 何を演奏すれば分からなくなったら、もっと(最新テクノロジーを使った)道具を増やせ。
- それでもまだ演奏するものを捉えられないなら、なにもするな(笑)
カッコ内はすべて私のコメントw 誤訳はご勘弁を。
さらに隣のページに7つの鉄則(蒸留版)と銘打って、
- 喜び
- 受容性/寛大さ
- 創造性
- 献身
- 決断力
- 創意工夫
- 存在性(影響力の方がいいか?)
が掲げられている。DGM立ち上げの時といい、詐欺師箱のPA(サウンドチェック)に関する覚え書きであったり、御大の色が全面に出て微笑ましい。
今回も結構1枚目の方が好き。ボックス以外で21世紀リマスター盤を持っていないので、それらに収録されているアウトテイクなどはありがたい。
冒頭のWind Sessionは昨年と同一曲。宮殿ボックスからの収録。こうやって例年やることで一つの様式を構築するつもりか?Boreloは紅伝説収録のLevinの演奏に差し替えたバージョンのリマスター。20年以上前の薄い音から肉厚で骨のある演奏が味わえる。
Islands (extract with Oboe)もIslandのリマスター盤からだが初めて聴いた。冒頭は「かもめの歌」響いていそうな美しいストリングスで幕を開け、その後のCrimsonには出てこないSinfieldが描こうとしていた優しい音世界を楽しめる。
A Peacemaking Stint UnrollsはIslands期Crimsonによる太陽と戦慄パート1のスケッチ。以前ブートでも聴いたことがある。Fripp御大によるメインのリフはほぼ完成しており、この編成ならではのMel CollinsによるサックスのフレーズやIan Wallaceによる重いドラムが独特な雰囲気を醸し出していて、面白い。一方で正式にリリースされたバージョンだと圧倒的なJohn Wettonのベース、高いチューニングのスネアと手数の多いBrufordのドラミング、そのドラミングに緊張を与えるMuirのパーカッション、そしてスリリングな纏の要因となるCrossのヴァイオリンなど、ここでのセッションを遥かに超える完成度であることもよく分かる。
年初にリリースされた最新ラインアップのライブ、 Live at The OrpheumからOne More Red Nightmareも収録されているところがよい。
2枚目は90sのダブルトリオ以降の音源が中心。そろそろ出る(出た?)THRAK Boxからの抜粋も目立つ。そちらはしばらく買えなそう(涙)。
律儀にProjeKctシリーズからも収録し、Crimsonの"Element"を集めている趣向が強調されている。
7人編成の現ラインアップの演奏は、さほど驚きはない、というか上手すぎて流れてしまうのか思ったほど耳に引っかかる感じはしない。この編成でのライブ盤を出す旨しっかり告知されているがちょっと心配。一方で年末のライブはものすごく期待している。
ラストの「精神異常者」も現ラインアップのライブだが、12" Cyclops Picture Disc EP and forthcoming USA II albumというところが気になる。USA IIというものは一体どういうものなんでしょうか?