イエス5枚目のアルバム。大作指向が進み、アナログA面で1曲ということをやり始めた。
とにかく前作「こわれもの」と並ぶイエスの代表作。
片面を大作1曲というのは、イエスがはじめではなくELPでも「タルカス」で同様のことはやっている。
イエスはB面も10分前後の曲2曲ということで、「タルカス」のB面が小品中心だったのでその部分は異なる。
表題曲「危機(Close To The Edge)」は20分近くあるものの、起承転結というか4パート構成で緩急起伏のあるメロディで長尺であることが気にならない、むしろもっと聴いていたいと思わせる魅力が詰まっている。
冒頭の鳥のさえずりのSEからハウ師匠のギター、ウェイクマンのキーボードが躍るように弾きまくられ、歌入りまでの数分間だけでも存分に味わえる。
4部構成になっていて、各部の切り替わりは意外と分かりやすい。
3部目「盛衰」の終わりの荘厳なパイプオルガンのところから4部目「人の四季」は屈指の展開。スクワイア番長のベースもブンブン鳴って気持ちいい。その勢いのままアンダーソンの歌も入ってくるが、そのままフィナーレに向かって「盛り上がっていく」のが素晴らしい。この「上がっていく」感は非常に入り込める部分。高揚感につながるとはこういうことかな、と。
イエス史上、そしてロック史上の名曲だと思う。
2曲目の「同志(And
You And
I)」は、牧歌的なアコギのフレーズから始まるライブでも定番の1曲。ラインナップが変わってもほぼすべてのツアーで演奏されているほどの曲。この黄金期のメンバーで作った曲だけど、メンバーを選ばないというかハウ師匠がラビンに代わってもままり違和感なく聴けると思う。懐の広い曲とも言える。
ラストの「シベリアン・カートゥル(Siberian
Khatru)」はスピーディーでとんがった曲。出だしのハウ師匠のギターがすべて。あるい意味、ライブでこの曲の出だしがOKなら大体OKなんじゃないかというぐらいバロメーターになる曲だと思ってる。そういう意味ではイエスソングスでの演奏は素晴らしい。印象的なリフもさることながら、歌メロもキャッチー。ラストのダ、ダ、ダダーダダーのコーラスも聴きごたえある。ブルフォードのドラムも聴きどころだが、意外と普通にスコンスコン叩いているところがカッコよかったりする。
長いので初心者には敬遠がちかもしれないけど、冗長でだらけた部分もなく、オーケストラ的な構成が功を奏していると思うので、これでイエスにハマる人もいると思う。