2023年10月11日水曜日

大日本帝国の銀河 | 林 譲治

小川一水氏の大作「天冥の標」読後、なかなかこのような読み応えのある作品に巡り合えない。
というか、昔ほど小説読む機会が少なくなってしまったのも事実。読むのも正直、気力がいるというか以前より能動的に「読むぞ」と思わないと、本に向き合える時間が持てなくなったというのが正直なところか。
本に出会う「機会」を得るというのも大事なことで、以前より書店に足を運ぶのも減ってしまった。それこそ学生の頃はほぼ毎日帰りには本屋によってふらふらしてたし、30になるまでもそこそこ行ってたかと思う。やっぱり自分の興味分野(プログラミングや料理、音楽)の情報源なんだよね。

ちょっと前置き長くなったけど、Kindleのセールで目にした本作「大日本帝国の銀河」が最近読んだ中では一番面白かったので紹介。

いわゆる、ファーストコンタクトもの。ただ、それが生じた時代設定が面白い。太平洋戦争開幕直前。既に中国とは戦端が開かれ、英米勢とも関係悪化していた日本。そこに、当時の科学力では実装できない兵器で日本や他の国の航空機や船舶を圧倒する謎の勢力が現れる。彼らは人間そっくりで言葉は通じるが、話の通じづらい存在で、自らを「オリオン集団」と名乗る。ようやっと天文学が開けてきた時代に宇宙からの使者を自称する彼らは、日本に「大使館設立を求める...

全5巻の構成となっており、1巻のヒキは抜群。
オリオン集団は日本以外にもコンタクトを取っており、それぞれの国に対し自らの軍事的優位性を誇示するが、侵略行為を目的としてものではなく、あくまで大使館設立とその後の話し合いが目的と主張する。それに巻き込まれる、科学者、軍人などの群像劇。
4巻以降は物語は加速するが、正直3巻目まではちょっと冗長な印象も受けた。ただ、そこまでに必要な要素のバラマキでもあるので、そこまで読めば物語が加速する以降の展開に報われるはず。
その分、最終巻がちょっと駆け足かなと思わなくもないけど、終わり方としては好きな終わり方。5冊分読んだ甲斐がありました。

ネタバレしないで物語の良さを伝えるのは、難しいですね.. 興味持たれた方はAmazonのレビューなども参考にされるといいかと思います。