80sの出世作Moving Picturesの次に出たアルバム。
オープニングのSubdivisionからゲディーの分厚いキーボードによる高揚感溢れる音の壁。前作以上にシンセサイザーが多用され、この頃ならではのデジタル臭があるけど、デジタル・リマスターのおかげかアタックの強い線の太いサウンドで、それはそれでよい。ライブの定番レパートリーとして定着するのも頷ける傑作。
ゲディーは、キーボード、ベース、歌とガンガンと攻めこんでくる。
続くThe Analog KidやChemistryも骨太のサウンドでかっこいい。アレックス・ライフソンのギター・リフに尽きる。
毎度のことながら、こうした大作主義を終えた時代でもニール・パートのドラムは、そのダイナミズムを失速させず、更に飛躍しようとしている。
ラストを飾るCountdownはこれまでのプログレ手法を活かしながらキャッチーなフレーズを織り交ぜ、華麗にアルバムをクローズさせる。
ラッシュは本作で大作主義からの脱却をここに完成させたのではないかと思う。