2022年8月27日土曜日

海洋地形学の物語

海洋地形学の物語

後追い世代の入手順から言うと、結構後にゲットした作品。'74年リリースのアナログ2枚組、片面1曲ずつの計4曲の大作。
ウェイクマンは本作の出来が気に入らず、ツアー後に脱退(1回目)。
当時はレコードの制約(片面の収録時間)というのもあって、こういう構成になったんだけどウェイクマンとしては納得していないらしい。CD時代なら1曲の長さも気にせずにまとめることもできたので、メディアによって曲作りが変わるのは必然だなぁと感じる。
大体の人はやはり、1曲目の「神の啓示」か4曲目の「儀式」を推すと思う。自分もそう。2曲目や3曲目の古代文明はちょっと冗長に感じる。悪く言うと引き延ばした感がある。それでも「古代文明」中間のハウ師匠によるアコギの部分などハイライトはしっかりとあり、当時の創作意欲の高さが伺える。
正直体力(気力)が普通以上でないと、通して聴くのが厳しいときもあるが、それでも結構な回数聴いていると思う。
ツアーではやる気のないウェイクマンが「カレーを食べながら、ビールを飲みながら」演奏してたと色んな文献に証言を見つけることができるが、ああいうユーモアもウェイクマンらしい。

アルバムより先にボックスセット「イエスイヤーズ」で「儀式」を初めて聴き、こりゃまた結構複雑な大作だなと感じたことを覚えている。何度も聴いたせいか、今はもう流れが染みついているので恐ろしい。「神の啓示」は冒頭のアンダーソンによる呪文のような歌いだしからおどろおどろしい曲かと思いきや途中から明るい展開というかハウ師匠のギターもきびきびと流麗なフレーズを紡ぎだし、ボーカルものびのびとしたメロディを歌い上げるイエス・ミュージック。本作からアラン・ホワイトがドラムでスタジオ初参加となっているが、ブルフォードの細かく走るようなリズムよりはどっしりとした安定感あるプレイでその上でメンバーが自由にやっている感じ。全体的に疾走感はすくなく、ゆったりとした大河をゆくような曲展開。
続く「追憶」はパーカッシブなプレイから始まり、うねるようなシタールっぽいフレーズが印象的。でもちょっと冗長かな。ウェイクマンも恐らくこういう無理に伸ばしたようなところに納得いってなかったのかと思ってしまう。
「古代文明」は、ハウ師匠のアコギパートが素晴らしい。ソロライブでも本作をコンパクトにギターソロのみで演奏しているが、やはりこの部分はハイライトになっている。
ラストの「儀式」は本作最長の21分越え。それでも展開がはっきりしているので、聴き飽きない。当初、途中のパーカッション中心のパートで飽きていたが、1975年のビデオを見てから印象変わった。そこではアンダーソンやスクワイアも何か大きいパーカッション鳴らして、全員参加の勢いでプレイしている様子がかっこよかった。

アラン・ホワイトが参加して初のスタジオ作品で、本作においてはビルのようなドラミングより、どっしりとしたロック的なドラムが合っているといわれていて、まぁ他のメンバーが好き勝手にやっている感じもするので、そういわれるとそうかなとも思う。

まぁ、初心者・万人にはお勧めしづらいが、イエスミュージックの真髄が詰まっている作品でもあるので、必聴ではあるかなと思います。