イエスの'70年リリースのセカンドアルバム。目玉はオーケストラとの共演とのことで、当時はハードロックバンドになる前のディープ・パープルだってオケとの共演してたぐらいなので流行りではあったんでしょうが、一部を除いてそれほど効果があったとも思えない。
オープニングの「チャンスも経験もいらない」やタイトルチューン「時間と言葉」(の終盤)こそマッチしているが、あとはそれほどでも。なくてもアルバムの良さはある。
「スウィート・ドリームス」はイエスならではの疾走感あるポップチューン。シングルカットされるのも頷ける。自分は結構イエスの曲の中でも上位の好み。既にこの時点で典型的な「アンダーソン節」というものが味わえる。ピーター・バンクスのギターだって悪くない。
「預言者」もトニー・ケイのオルガンが素晴らしい1曲。こういうのこそ、今やって欲しい。こういうのが出来ると確かにオルガンにこだわる姿勢も分からなくもない。オーケストラがオルガンに負けている感じする。後にケイが参加するバジャーのファーストを聴いてもこのどこか泥臭いオルガンが目立つもの。
本作でバンクスが脱退するが、その置き土産としての素晴らしいプレイが「星を旅する人」で堪能できる。よくある表現で申し訳ないが、あのエッジの効いたどこかやけ気味のカッティングが本当にカッコいい。それにかぶせるケイのオルガン、支えるどころか押し上げるようなブルフォードのドラミング、ととにかくカッコいい。
ラストを飾るタイトルチューンはアコースティックな始まりで途中から入るオーケストラで盛り上がる1曲。後年もレパートリーとして取り上げられており、アンダーソンも気に入っているのかなと感じる。
2003年のリマスター盤には、スウィート・ドリームスのB面のディア・ファーザーや収録曲のオリジナル・ミックスなどが含まれている。