メンバー全員のソロ活動があり、モラーツが脱退し、ウェイクマンが復帰した'77年の作品。
当初モラーツがスイス出身だからスイスで録音開始したが、脱退してしまったので、急遽ウェイクマンが呼び戻された。マネージメントも同じだったので、声かけやすかったのと「海洋地形学~」から時間も空いたのでほとぼり冷めたといったところか。
'77年は既にプログレのブームも終わっており、パンクが流行りだした頃。
前作からも間が空き、時代に迎合しようとしたのかジャケット・アートはヒプノシスによるものとなり、ビルの写真や幾何学模様を背景に全裸(後ろ姿)の男が立っているものとなっている。イメージチェンジのつもりなんだろうけど、正直あまり合わない。というかコンセプトがよく分からない。
ラストの大作「悟りの境地」もあるが、基本的にどれも歌メロが非常に明快。冒頭の「究極」はイエス風ロックン・ロールといった感じ。だけど印象的なギターフレーズがスライドによるものでおよそロックン・ロール・バンドとはほど遠いアレンジなのも面白い。
「悟りの境地」はイエス・ミュージックの「真髄」とも言える長尺曲で、ことあるごとにアンダーソンがこれを気に入っている発言をしている。緩急効いて聴きやすく、長尺でも聴きごたえもあり、確かに最高傑作として位置づけられているのも分かる。
パイプ・オルガンはスタジオから遠く離れた教会で録音。録音機材を持ち込まずに電話を通じて録音したっていうけど、それでこの音になるのか?当時のエンジニアの創意工夫って本当に凄い。
2003年のリマスターでボーナストラックが結構収められているが、既にイエスイヤーズでお披露目されたものもある。Mountreux's ThemeやVeveyなどは膨らませるなり、他に含ませるなりしても良かったんじゃない思うピースだと思う。