2022年8月20日土曜日

90125(ロンリーハート) | イエス

90125

邦題「ロンリー・ハート」。'83年再結成アルバム。
気鋭の若手ギタリスト、トレヴァー・ラビンの活躍が素晴らしい。当時のジェネシス、エイジアと合わせて、ポップに身売りしたぐらいの言われようだったらしいが、本作がなければその後のイエスはなかったと言っても過言ではない重要な作品。

そもそもがスクワイア番長とアラン・ホワイトがトレヴァー・ラビンを誘って新バンド「シネマ」として活動開始していたところ、パーティーでジョン・アンダーソンに聴かせたら気に入ってボーカルを入れることになったという、かなりイレギュラーな制作事情。アンダーソンが歌うならキーボードもイエス関連人脈がいいということでトニー・ケイが引っ張りだされる。途中、U.K.のエディ・ジョブソンが参加してたらしいが、イエスの復活策として売り出そうとするマネージメントの圧力のせいでメンバーとして定着せず。まぁ、カラーとしては合わなかったかもなぁと感じる。
そして、プロデューサーが前作「ドラマ」のボーカルだったトレヴァー・ホーンだからイエスの系譜的にもものすごい「つなぎ」の人事が垣間見えて、前作からの変なつなぎが本作のイエスとしての立ち位置を重要づけている。

タイトル曲は、オーケストラ・ヒットの活用としても代名詞的な名曲。ラビンのソングライティングのポテンシャルの高さもさることながら、この形に仕上げたホーンの見事な手腕。

「変革(Changes)」はプログレっぽさ残る、80sイエスならではの1曲。続くインスト「シネマ」はラビンの弾きまくりギターもさることながら、アラン・ホワイトの走ってるドラムが物凄くいい。これぞ、ロック・ドラマーという感じ。

「ハーツ」はアンダーソン色強く感じるけど、全員が作曲クレジットされており必ずしもジョン・アンダーソン手動の曲という感じではないみたい。

今こうして聴きなおすと「リーヴ・イット」って少々異色な感じだよな、と思う。多分他のラインナップでは出てこない曲だと思う。

ハウ師匠主導の現イエスでは、ロンリーハートをやらなくなっているらしいけど、バンドへの敬意が足りないと苦言を呈したい。師匠なりにイエスのあるべき姿を現すためにセットリストを組んでいるんだろうけど、こういう80sがあっての今があるということを捉えて欲しい。