イエスの歴史の中でも大事件とされる、2組のイエスの合体作。
発表当時は裏側の細かい事情も分からないながら、それでも2組別々に制作してジョン・アンダーソンだけが気持ちよく歌ってるみたいに言われてましたが、その後ネットのおかげか真実とされる情報が続々出てきており、今では本作、特にABWH側はメンバー以外のスタジオミュージシャンが演奏しているということが明るみになっております。まぁ、アンダーソンとプロデューサーのジョナサン・エリアスの独断なんでしょうが、よくもまぁ、発売できたものだなぁと感心。ショウ・ビジネスの世界の裏側は怖いもの。
そもそもジョン・アンダーソンがラビン擁する90125イエスから脱退して、旧メンバーとABWHなるものを結成しこちらがイエスと宣言したものの名称は使えないものの、非情にイエス的な作品をリリースし、2組に分裂したお家騒動となってました。
しかし、ABWH側が煮詰まったのかアンダーソンがラビンにいい曲ないか聞いたのがきっかけで、一緒にやることに。とは言え、レコーディングは完全に別々で本作ができたことに。
世間でも結構評価良くないですが、自分はわりと気に入っている。
特に冒頭のI Would Have Waited Foreverなんか、すごいイエスっぽくていいじゃん!と思ってます。この曲こそ、全員で演奏すべきだったのではと思ってる。
久々のハウ師匠によるアコギインスト、Masqueradeはメロディも美しいが、あの音色に魅せられる。
The More We Live - Let Goはスクワイア番長と後年イエスに参加するビリー・シャーウッドの共作。二人のユニット、コンスピラシーにも再録されている。
最後のTake the Water to the Mountainはいかにもアンダーソン節なイエス・ソング。正直、ひねりが足りない部分があるとは思うが、このようにそれっぽい雰囲気の中でのびのび歌う様を聴くのは結構気持ちいい。
ABWH側の曲はトニー・レヴィンがベースを弾いているそうで、そういう経緯からかEven Songはブルフォード&レヴィン作、演奏となっている。悪くはないけど、イエスの看板の元に出すもんでもないかなとは思う。
ツアー中もメンバー間で確執あった部分も言われたけど、総じてお祭り騒ぎの雰囲気でファンは楽しめたんじゃないでしょうか?
自分は後追いなので、あとでDVDやCDでライブをおっかけた感じ。
バイオ本など読むと、ハウ師匠が結構かたくなな感じの姿勢が終始続いていて、やはり難しい人だなと(笑)。後年の6人編成からのビリー・シャーウッド脱退なども、すべてではないにせよハウ師匠起因なんだろうなと勘ぐってる。
「イエス・ヒストリー」の映像を見ると、ウェイクマンなんかは終始にこやかに他のメンバーにいい意味でちょっかい出している。ほんと陽キャラだな、と思う。
本作はロジャー・ディーンによる美麗なジャケットも印象的。イエスの場合は、この方が売れる。